2012年11月14日 雑記
有限会社の管轄外への移転登記
掛川市へ引っ越したので会社も移転することになりました。有限会社なので移転登記をしなければなりません。名古屋法務局から静岡県浜松支局への管轄登記所外移転となります。
移転登記は現在地と移転先の法務局へ申請書を出さなければなりません。それぞれに免許税30,000円が必要なんだそうです。一緒に取締役の住所変更と辞任の登記もするので、それにも10,000円(資本金1億円以下の会社の場合)の免許税がいます。全部で70,000円もいるのです。
人に頼めばラクチンですが、確実に10万円以上の出費になりそうだったので、自分で登記申請をやってみました。
まず、法務局のホームページに「2-5 特例有限会社本店移転登記申請書(管轄登記所外移転)」がWordファイルであったので、記載例と一緒にダウンロードしました。「2-2 特例有限会社役員変更登記申請書(辞任等により新たな役員が就任した場合)」も参考になりそうです。
ファイルの中はいろんな書類のセットになっていますが、現在地と移転先の法務局へ出すそれぞれの登記申請書、株主総会議事録、辞任届だけ作りました。
約款に住所や取締役の人数が記載されている場合には、約款の変更も必要です。だけど、株主総会議事録で変更を決議したと記載すれば現物の約款は変更しなくても済むのです。
必要な書類を持って名古屋法務局3階の窓口へ行くと、窓口と反対側にある相談コーナーへ行くように案内されます。相談コーナーには既に何人か先客がいました。
不動産の登記の時は相談の段階で修正点をいくつか指摘され、書き直しのために出直しすることになりました。今回もそのつもりでした。しかし、予想外に一発ですんなり通ってしまいました。
書類をホッチキスで綴じられ、割印を押します。割印をページの奥の方に押そうと悪戦苦闘していると、一方のページのど真ん中あたりを折り曲げ、そこに押すように指導されました。割印を押されてさえいれば、位置は関係ないようです。
書類にOKが出たら、登記免許税分の収入印紙を申請書に貼って届け出窓口に提出します。代わりに補正確認票をいただいます。
登記完了日は1週間後。補正の必要があれば電話がかかってきますが、何も連絡がなければ登記完了。不動産登記のように「登記完了証」を貰いに行く必要はありません。
僕の場合は補正の連絡がありました。
移転先に提出する申請書の「登記すべき事項」に、記載例のまま「その他の事項は,別添登記事項証明書記載のとおり」としておいたのがまずかった。本店所在地も役員に関する事項も変更になるので登記事項証明書の通りではないのでダメなのです。
電話で指示をされ、登記事項証明書を修正した内容での書類を作成し持参します。そして提出した登記申請書は手書きで「その他の事項は,別紙のとおり。」と修正し、訂正印を押します。
補正は電話を受けてから5日以内(土日祝日を除く)に手続きをしなければならない。遅れた場合は取り消しになり、お金も戻ってこないので注意しなければなりません。
補正の連絡は最初の提出から2日後にありました。だけどドジなことに、僕は連絡先の電話番号に移転先の電話番号を記載してしまっていました。本人はまだ名古屋にいるのに、これでは電話に出られない。携帯電話番号にすればよかったと反省。
補正手続きが済むと翌日ぐらいには現在地での登記が完了し、それから移転先の法務局に転送され、登記となります。
余裕を見て1週間後くらいに移転先の法務局へ電話したら、登記の確認ができました。
最後に新しい印鑑カードの交付申請をします。移転先の法務局へ印鑑を持って行き、申請書を提出すれば即日、無料でカードを発行してくれます。ちなみに古い印鑑カードは返却らしいが、返さなくても何も問題がないらしい。
役所や銀行などに移転の書類や住所変更するのに履歴事項証明書が必要になります。たいていの場合コピーで済むので、行ったついでに1通とっておきましょう。
実際にやってみて迷うことはありますが、何度も法務局に通う覚悟があれば、係の人は親切に教えてくれます。司法書士の方には申し訳ないが、経費節約にもなるので経営が芳しくない経営者の方におすすめしたい。
参考に、今回のケースの登記申請書、議事録などのサンプルを下に書いておきます。株式会社の場合は自分で調べて。
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特例有限会社変更・本店移転登記申請書 (←現在地の法務局提出用)
1.商 号 有限会社○○○○○○
1.本 店 愛知県名古屋市◇◇◇◇◇◇◇◇ (←現在の本店住所)
1.登記の事由 取締役の住所変更
取締役の辞任
本店移転
1.登記すべき事項 平成00年00月00日
取締役なで王 へろ助、なで王 奥子住所移転
静岡県掛川市○○○○○○○○○ (←移転した住所)
平成00年00月00日次の者辞任
愛知県名古屋市◇◇◇◇◇◇◇◇ (←現在登記の住所)
取締役 なで王 奥子
平成00年00月00日本店移転
本店 静岡県掛川市○○○○○○○○○ (←移転先の住所)
1.登録免許税 金40,000円 (←移転3万円+取締役変更1万円)
1.添付書類 辞任届 1通
株主総会議事録 1通
上記のとおり,登記の申請をします。
平成00年00月00日
静岡県掛川市○○○○○○○○○ (←移転先の住所)
申請人 有限会社○○○○○○
静岡県掛川市○○○○○○○○○ (←移転した住所)
代表取締役 な で 王 へ ろ 助 (代表印)
連絡先の電話番号 0000-00-0000 (←携帯電話でもOK)
名古屋法務局 御中 (←現在地の法務局名)
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特例有限会社本店移転登記申請書 (←移転先の法務局提出用)
1.商 号 有限会社○○○○○○
1.本 店 静岡県掛川市○○○○○○○○○ (←移転先の住所)
1.登記の事由 本店移転
1.登記すべき事項 平成00年00月00日本店移転
その他の事項は,別紙のとおり。 (←下記掲載の【A】参照)
1.登録免許税 金30,000円
上記のとおり,登記の申請をします。
平成00年00月00日
静岡県掛川市○○○○○○○○○ (←移転先の住所)
申請人 有限会社○○○○○○
静岡県○○市○○○○○○○○○ (←移転した住所)
代表取締役 な で 王 へ ろ 助 (代表印)
連絡先の電話番号 0000-00-0000 (←携帯電話でもOK)
静岡地方法務局浜松支局 御中 (←移転先の法務局名)
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臨時株主総会議事録 (←注:以下は、取締役2名、株式総数60株の場合の例。)
平成00年00月00日午前00時00分より,当会社の本店において臨時株主総会を開催しました。
議決権のある当会社株主総数 2名
議決権のある発行済株式総数 60株
出席株主数(委任状による者を含む) 2名
この議決権のある持株総数 60株
株主総会に出席した取締役
取締役 なで王 へろ助、なで王 奥子
議長 代表取締役 なで王 へろ助
議事録の作成に係る職務を行った取締役 代表取締役 なで王 へろ助
以上のとおり、株主の出席があったので、定款の規定により代表取締役社長 なで王 へろ助は議長席に着き、臨時総会は適法に成立したので、開会する旨を宣し,ただちに議事に入り、全員一致をもって下記事項を決議しました。
第1号議案 定款変更に関する件
1 定款第00条を次のとおり変更すること。 (←以下は定款の文に準ずる)
(本店の所在地)
第00条 当会社は本店を 静岡県掛川市○○○○○○○○○ に置く。
2 定款第00条を次のとおり変更すること。 (←以下は定款の文に準ずる)
(員 数)
第00条 当会社には、取締役 1名 をおく。
第2号議案 本店移転に関する件
上記定款変更に基づき、本店を下記へ移転すること。
移転の時期は来る平成00年00月00日とすること。
本店移転先 静岡県掛川市○○○○○○○○○
議長は、以上をもって本日の議事を終了した旨を述べ、午前00時00分閉会しました。
上記の決議を明確にするため,この議事録を作成し,議長及び出席取締役がこれに記名押印します。
平成00年00月00日
有限会社○○○○○○臨時株主総会
議長 代表取締役 な で 王 へ ろ 助 (代表印)
取締役 な で 王 奥 子 (印)
(代表印) (印) (←欄外に捨印)
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辞 任 届
私は、平成00年00月00日をもって貴社の取締役を辞任したくお届けします。
平成00年00月00日
静岡県掛川市○○○○○○○○○
取締役 な で 王 奥 子
有限会社○○○○○○ 御中
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【A】移転先の法務局提出用別紙の例(内容は登記事項証明書に準ずる)
商 号 有限会社○○○○○○
本 店 静岡県掛川市○○○○○○○○○ (←移転先の住所)
公告をする方法 (←登記事項証明書記載のとおり)
会社設立の年月日 (←登記事項証明書記載のとおり)
目 的 (←登記事項証明書記載のとおり)
発行可能株式総数 (←登記事項証明書記載のとおり)
発行済株式の総数並びに種類及び数 (←登記事項証明書記載のとおり)
資本金の額 (←登記事項証明書記載のとおり)
株式の譲渡制限に関する規定 (←登記事項証明書記載のとおり)
役員に関する事項 静岡県掛川市○○○○○○○○○ (←以下は移転後について記載)
取締役 なで王 へろ助 (←役員一人なら取締役も代表も同じ)
代表取締役 なで王 へろ助
登記記録に関する事項 平成00年00月00日 愛知県名古屋市◇◇◇◇◇◇◇◇から本店移転
(↑移転日)
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登記が完了したら税務署や年金事務所、役所へいくつかの書類を提出します。今回のケースの場合を下にまとめておきます。
ほとんどの届出書がホームページからダウンロードができたので助かりました。
提出用、控用の書類と切手を貼った返信用封筒を返送依頼のお手紙を付けて郵送すれば、わざわざ窓口へ足を運ぶこともありません。
*印は履歴事項証明書の写しが必要。移転先によって提出物が異なる場合があるので自分で調べてね。
●税務署*(現在地・移転先の管轄税務署)
・法人等の設立申告書
・給与支払事務所等の移転届出書
・異動届出書
・消費税異動届出書
●愛知県税事務所*
・事務所等移転報告書
●移転先の県税事務所*
・法人設立解散等届出書
●栄市税事務所市民税課法人市民税係*
・法人の異動届出書
●名古屋市個人市民税特別徴収センター(特別徴収をしている場合)
・特別徴収義務者所在地等変更届出書
●移転先の市役所など*
・法人等の設立申告書
●年金事務所*
・健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届(管轄外)
・保険料口座振替納付(変更)申出書
従業員がいる場合は、ハローワークとか労働保険関係も忘れずにね。